年齢退行のヒプノセラピーのセッションは、どんな理論に基づいているのか?実際のセッションはどんなことをするのか?を分かり易くご紹介します。
自分の「良くない考え方の癖」をなんとかしたい!と思われている方や、「年齢退行」のヒプノセラピーに興味はあるけどどんなことやるのか知りたい…と感じている方は、ぜひご一読ください。
また、対人支援をお仕事にされている方は、ベースとなっている理論を知識の引き出しの1つにして頂くことが出来るかもしれません。
年齢退行とは何か

「失敗するのが怖い」「自分に自信が持てない」などなど、良くないことが頭の中でぐるぐるしてしまうこと、ご経験がある方も多いかもしれません。
その「良くないことを考えてしまう癖」は幼少期に身に付けたものであるという理論に基づき、イメージの中で幼少期の自分に戻って、その頃の自分を癒すことで今の自分の気持ちを楽にする、というのがヒプノセラピーの「年齢退行」というセッションです。

自分でも忘れていたような過去の出来事を思い出し、幼少期の自分を客観視して、大人になった自分が子供の頃の自分に「大丈夫だよ」とアドバイスをします。
他人からもらったアドバイスは受け取りづらいこともありますよね。年齢退行のセッションは、自分の言葉で自分にアドバイスをする形でセッションが進むので、「そうか」「そうだよな」と深い気付きを得ることが出来ます。
ベースの理論
年齢退行のベースとなっている理論が2つあります。1つずつご説明します。
4歳以下が刷り込み期
1つめは「4歳以下」の時期が「刷り込み期」であるという理論です。「刷り込み」とは、どんな動物にも、幼い時の一定期間にのみ起こるもので、「刷り込み期」に学んだことは生涯を通じて忘れづらいと言われています。
カモ:孵化後約24時間
イヌ:生後約3ヶ月
ヒト:4歳以下

カモは、孵化した後24時間以内に見たものを親だと思ってしまうんだよね。

イヌは、生後3ヶ月以内に他のイヌに慣らさないと、その後もずっと他のイヌが苦手になってしまうことが多いんだって。
人間は、その刷り込み期が「4歳以下」です。この期間に学んだことは、プラスなこともマイナスなことも無意識(心の深い部分)に定着する可能性が高いと言われています。

感情のゲシュタルト
2つめは、「感情のゲシュタルト」という理論です。
人の心は自分で意識出来ている部分は少ししかなくて、「無意識」の部分が90%以上を占めていると言われています。
※詳細は、下記のブログの「無意識とは何か」の段落をご参照ください。↓

この「無意識」の中には「時間軸」があり、過去に感じた感情が細かく分類されて(例:下図「悲しみA」「悲しみB」)、それぞれの感情毎に時系列に繋がって保存されています。

「悲しい」という気持ちにも、「心が締め付けられるような悲しさ」や「切ないような悲しさ」など、色んな種類の「悲しさ」がありますよね。

例えば「切ないような悲しさ」と同じ感情を感じた過去の経験が、心の深い部分で時系列で繋がって保存されているんだね。

ゲシュタルト心理学
ドイツの心理学者によって20世紀始めに確立された。「ゲシュタルト」とはドイツ語で「全体性を持ったまとまりのある構造」という意味。
プレグナンツ(簡潔)の法則
ヴェルトハイマー(ドイツの心理学者)が提唱。人は、同種のものをグループ化することで脳内で簡潔に情報を処理できるようにする傾向があると説いた。
そして、ネガティブな感情には、ISE (Initial Sensitizing Event:その感情を初めて感じたときの出来事)があり、

その「ISE」を取り除くと…

ゲシュタルトが崩壊し…

その感情が全て無くなるというのが、「感情のゲシュタルト」の理論です。「ISE」は4歳以下の「刷り込み期」にあります。そのISEを探して、癒して、負の経験を学びに変えることで、ISEを取り除いていくのが年齢退行のセッションです。

余談ですが、ポジティブな感情(例:下図「喜びA」)は人間の本質であり、ISEは存在せず、無くすことは出来ないと言われています。

セッションの進め方
私が提供しているサービスの「STEP3」のセッションが「年齢退行」のヒプノセラピーなので、STEP3ではどんなことをするのか?をご紹介します。
まずは、どんな「ネガティブな考え」を取り除きたいのかをお伺いします。そして、そのことを考えると考えるとどんな感情が湧いてくるかも併せてお聞かせください。

次に、催眠状態へ誘導します。皆さんにお願いしたいことは、リラックスできる姿勢で、目を軽く閉じ、深く呼吸をしながら、私の声に耳を傾けて頂くことだけです。「ヨガ」をされている方は、それに近い状態だと思って頂ければと思います。「禅」「瞑想」「マインドフルネス」といったものにも近い状態です。

リラックスした状態になったら、ISEを探すため、過去の経験を思い出していきます。まず、「取り除きたい感情」に気持ちを集中します。そして、イメージの中でその感情と同じ感情を感じた過去に戻り、そのときの経験を体験します。

ISEは4歳以下の年齢にありますが、いきなり4歳以下のときのことを思い出せない場合が多く、その場合は少しずつ過去に戻っていきます。

例えば、現在40代の方が、最初に思い浮かんだのが18歳のときのことだった場合、そのときと同じ感情を感じたさらに過去の出来事(例:8歳)へ戻り…

4歳以下の「この感情を感じたのは、この年齢のときが初めて」という年齢(例:2歳)まで戻ることが出来たら、それがISEです。

ISEを探し出すことが出来たら、イメージの中で、そのときの辛い体験をした「子どもの頃の自分」に「現在の大人の自分」が会いに行き、対話を通して癒していきます。そうすることでISEが取り除かれ、同じ感情で苦しんでいる現在の自分の心も楽になります。
セッション成功のポイント
このセッションの大切なポイントは、「パッと思い浮かんだこと」を言葉にすることです。「本当にこんな過去の経験あったかな…?」と考えすぎることなく、心にふと浮かんだことを、そのまま言葉にしてみてください。それは、無意識が教えてくれる大切なイメージです。

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