勉強会で知り合った獣医さんに、動物のためにどんな活動をされているか、お話を伺う機会を頂きました。
獣医師として働かれているため、もちろんお仕事でも沢山の動物を救っていますが、
プライベートでも複数の団体でボランティア活動をされていて、ときには野生動物保護活動の一環で、海外へ行かれることもあるそうです。
そんな獣医師Aさんが、今一番気になっていること。それは、プラスチックゴミの問題です。
ウミガメの命とコンビニ袋の繋がり
プラスチックゴミをエサと間違えて食べてしまった海の生き物が命を落としているということは、知っている人も多いのではないでしょうか。

その話は聞いたことがあるわ。でも、なんとなく遠くの出来事のように感じちゃうわね…。

うん、そうだよね。でも、遠くの出来事が自分の生活と繋がっていることに気付くことが、沢山の生き物の命を救う大きな一歩になるんだ。
獣医師Aさんがプラスチックゴミに興味を持ったきっかけは、命を落としたウミガメの解剖をしたら、喉にコンビニのビニール袋が詰まっているのを目にしたことでした。
「喉にビニール袋が詰まっちゃったから、その後にご飯を食べても飲み込めなかったのでしょうね。そのウミガメのことがきっかけで、まずは海岸のゴミを拾うことから始めました。プラスチックゴミだけでなく、金属、ガラスなどの人工物は何でも拾いました。」
Aさんのお話を聞き、プラスチックゴミのことが気になり、色々ネットで調べてみました。
NIHKの「大学生とつくる就活応援ニュースゼミ」で、プラスチックごみ問題が分かりやすく説明されています。

海のプラスチックゴミは、海岸でポイ捨てされたものなのかな?と思っていましたが、それだけではないようです。
街中の道端に落ちているプラスチックゴミも、雨で側溝に流れ、川に流れ、そして海に流れてしまいます。
そして、私達がちゃんとゴミ捨て場に捨てているプラスチックゴミも、実は「資源」という名で年間150万トンも他の国に輸出されて、そのうちの多くがリサイクルされずに海に流れ出ているそうです。
今日ゴミ箱に捨てたコンビニ袋が、ウミガメの命を奪うかもしれないと考えると、少しでもプラスチックゴミを減らしたいという気持ちになります。
プラスチックゴミを減らす方法その1
Aさんが実践されている、プラスチックゴミを減らす3つの方法をご紹介します!まずはその1。
プラスチック製品をなるべく家に入れない
プラスチック製品をなるべく家に入れなければ、ゴミにはなりません。プラスチック製品をなるべく家に入れないためには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか。
食品衛生の為など、プラスチック製品が必要な場面も多々ありますが、不必要なプラスチックストローやコンビニ袋などはもらわない。
新しくものを購入するとき、プラスチック以外の素材に代替できるものについては、自然素材のものを選ぶ。
(例)
プラスチックのサンダル⇒木のサンダル
フリース⇒ウールのセーター
フリースなど合成繊維の衣類を洗濯すると、マイクロプラスチックが大量に発生し、かなりの割合が下水処理施設をすり抜けてしまい、最終的に川や海に流れこんでしまうことが、今、問題となっているそうです。
知識がなかったころに購入したプラスチック製品や、代替できる製品がないため購入したプラスチック製品は、出来るだけ大切に使う。壊れたら、修理出来るものは修理する。

Aさんは「絶対に毎回そうする」のではなく、ゲーム感覚で楽しみながらやることを大切にされているんだって!

先週に比べると、今週はけっこうプラスチックゴミの量が減らせた!やったー!みたいな感じで、楽しみながらやることが継続の秘訣なのね。
プラスチックゴミを減らす方法その2
プラスチックゴミを拾う
プラスチックゴミを拾うボランティア活動をあることを、Aさんが教えて下さいました。調べてみると、様々な団体がボランティアを募集していました。一部をご紹介します。
一般社団法人JEAN
特定非営利活動法人 荒川クリーンエイド・フォーラム

私もまだ参加したことがないのですが、参加してみたいと思っています。プラスチックゴミを拾う活動をすることで、さらに問題を身近に感じられるのではないかと思います。また、その場で出来る人との繋がりも、かけがえのないものになりそうですよね。
Aさんは身近なプラスチックゴミも拾っているそうです。これなら、今日から始められそうですね!

道端に落ちているプラスチックゴミ。自分が落としたものじゃないし…と思って通り過ぎてしまいそうになりますが、1人ひとりが立ち止まって拾うことが出来たら、地球はどんどん綺麗になりそうだね!
プラスチックゴミを減らす方法その3
それとなく友達にも伝えていく
プラスチックゴミを減らすことを周りの人に強要することはせず、自分の行動で示していくことについて、Aさんはこんなお話をして下さいました。
「例えば、友達とカフェに行ったとき、私がストローやプラスチックの蓋をもらわなければ、友達が「あっ、私もそうすれば良かった」と言ってくれることもあるんです。」

そんな伝え方もあるのね!このやり方なら、店員さんもプラスチックゴミに興味を持ってくれそうね。

強要ではなく、それとなく周囲の人に伝える工夫を、いろんなバリエーションで考えてみるのも楽しそうだね。
「私が行っている方法は、他の方がすでに実践しているもののうち、取り入れられるものを行っているにすぎません。今もいろいろ調べ中です。」と話して下さったAさん。
私も、これからもいろいろ調べながら、出来ることから取り入れてみたいと思います。
Aさんは、プラゴミを減らす方法のお話の締めくくりに、こんなお話をして下さいました。
「細かいことは、ネットで色々調べられますが、全部取り入れたら息苦しくて嫌になると思います。ほどほどに、出来ることからやる、というスタンスです。私一人やっても意味がないかな、なんて思うときは、ハチドリの話を思い出して。」
心打たれたお話「ハチドリのひとしずく」
「ハチドリのひとしずくの話、ご存知ですか? I am only doing what I can do.」
と、Aさんに教えていただき調べてみると、南アメリカの先住民に伝わるお話だと分かりました。
10年ほど前にブームになったようですが、今読んでもお話の魅力は色褪せず、出来ることから始めていくことの素晴らしさを教えてくれる素敵なお話です。

プラスチックゴミを減らす方法、やってない人の方が多いし、自分一人がやり始めてもあまり意味がないんじゃないかな…。
そもそも世界には、プラスチックゴミ以外にも色んな問題があって、何から手をつければいいか正直わからない!
そう感じている人が多いような気がする。
そのように感じている人の心に、このお話はジワジワと響いてきます。
でもクリキンディという名のハチドリだけは、いったりきたりくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑います。
クリキンディはこう答えました。「私は、私にできることをしているだけ」

とても短いお話ですが、大切なことを教えてくれている気がします。
このお話を広めたのは、環境運動家の辻信一さんです。辻さんは、このクリキンディのお話を南米のアンデス地方に住む先住民族に聞き、強く胸を打たれ、一冊の本にまとめました。
本には、辻さんが「できることをしている」人16人にインタビューをした内容や、クリキンディのように「ひとしずく」を落とすために、すぐに行動に移せる具体的な方法が書かれています。

辻さんはクリキンディのお話について、本の中でこのように書かれています。
地球に迷惑をかけない生き方
Aさんは、「地球に迷惑をかけない生き方をすること」を目標とされています。

Aさんがそう思うに至ったお話がとても素敵なので、ご紹介します!
同僚の机を整理しながら、人間って死んじゃうんだ、と何を今更?という事を考えていました。
また、高校の同級生のお母様から、彼女の喪中欠礼を頂いた時の衝撃は今でも忘れられません。
彼女達には、私のせいにしないで!と言われるかもしれませんが、残された人生、好きな事をして生きよう、と思ったのは事実です。
仕事は真面目にやってきた方だと思います。だから、もう、お役目は果たしたから、好きな事をして良いよ、と自分に許可を出した感じです。
好きな事を、と言っても何でも良いわけではありません。動物のためになること、なるべく地球に迷惑かけない生き方をする、が目標。
本当は地球のために、と言いたいところですが、地球には人間ごときが大きなお世話、とは言われそうなので。

Aさんの生き方、とても素敵…!死ぬからこそ、生きている今をより良く生きる。動物を大切にし、地球に迷惑をかけずに生きる。私もそんな生き方がしたい!
Aさんは、まさに山火事に雫を運ぶハチドリだと思いました。
ハチドリの数が増えれば増えるほど、山火事を消す力は大きくなります。まずはプラスチックゴミを減らす方法を1つ、試してみませんか。
海の生き物は、あなたのひとしずくを待っています。
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