就職、転職、結婚、離婚、昇格、降格、出産、死別、などなど…。人生には本当に様々な転機がありますよね。転機を迎えると「これからどうすれば良いんだろう?」という不安な気持ちや、「今の状況を乗り越えられる気がしない…」という絶望感を感じることもあるかもしれません。
こちらの記事では「シュロスバーグの4S理論」を使って、転機を乗り越える方法をご紹介します。日本人に馴染みのある「桃太郎」を例に解説しますので、どなたでも簡単に理論を使いこなすことが出来ると思います♪
4S理論に沿ってかんたんに自己分析できるワークシートも作成しました。このシートで今のもやもやを整理していけば、きっとスッキリして「次にどんな一歩を踏み出せば良いか?」が見えてくると思います!
※ブログをご一読頂いた後のご使用をお勧めします
シュロスバーグの4S理論とは?
まず、シュロスバーグとは誰なのか?4S理論とは何なのか?を簡単にご紹介しますが、「早く4Sの詳しい使い方が知りたい!」という方はこちらの段落は飛ばしちゃってください!
シュロスバーグってどんな人?
(ナンシー・K・シュロスバーグ)
1929年アメリカ生まれのキャリア理論家
メリーランド大学の名誉教授
NCDA(全米キャリア開発協会)の元会長
Transition Theory(転機の理論)を提唱
シュロスバーグについて詳細はこちら。
※英語のサイトですが、顔写真も載っています♪
4S理論って何?
シュロスバーグが提唱した「転機を乗り越えるリソース(転機を乗り越えるときに役立つ、自分が持っているもの)」に気付くためのフレームワーク
Situation(状況)
Self(自己)
Supports(支援)
Strategies(戦略)
現在の「状況」を整理して、この状況を乗り越えるのに役立つリソースを自覚して(「自己」と「支援」を言語化して)、乗り越えるために何から始めれば良いか「戦略」を立てる。これが4S理論の概要です。
4S理論についての詳細はこちら。
※英語のサイトですが、4S理論が図解されています♪
何だか難しそう…と感じた方もいるかもしれません。次の段落からは「転機を迎えて悩む桃太郎」と一緒に4Sを分かりやすく解説していきます!
Situation(状況を知る)
僕は桃太郎。鬼退治に行くことに決めたんだけど…本当にこの選択が正しかったのかな?って最近もやもやしているんだ。
大きな決心をしたけど、もやもやした気持ちも感じているんだね。そしたら、まずは今の状況を整理してみることから始めてみない?
シュロスバークの4Sは、まず現在のSituaiton(状況)を分析することから始めます。転機を迎えると、焦ったり動揺したり…心が不安定になることがありますが、まず、冷静に今の自分が置かれた状況を理解することで「自分は一番何に困っているのか」が見えてきます。
「転機の定義」「eventとnon-event」「転機の起こり方」「転機の性質」の4つの観点で、Situation(状況)を分析していきましょう。
転機の定義
例:母親になる、課長になれない
②関係
例:友人と仲良くなる、親と疎遠になる
③日常生活
例:育児が始まる、仕事に就けない
④自分自身に対する見方
例:「働くママ」になる、「出世コース」から外れた
僕は、鬼退治に行くと決めて家を出たことで、日常生活がガラリと一変したよ。
そっか、そしたら桃太郎くんの今の状況は「転機」を迎えていることになるね。
eventとnon-event
転機には「イベント」と「ノンイベント」の2種類があります。
ある出来事が起こること
例:失業する、離婚する、事故に遭う
ノンイベント(non-evnet)
ある出来事が起こらないこと
例:就職出来ない、昇進出来ない
出来事が起こらなくても「転機」になるんだね!
「起こるだろう」と思っていた出来事が起こらないと、それを理解・納得するのに時間がかかることがあるんだ。シュロスバークはそれも転機だと定義しているよ。
僕の場合は「鬼退治に行く」という出来事が起こっているから「event」の方だね。
転機の起こり方
「転機の起こり方」は次の3つの観点で考えることが出来ます。
例:5年間闘病していた夫が亡くなった
例:夫が突然死した
②自分が決断して生じさせた/そうではない
例:転勤を伴う異動を自ら望んだ
例:会社から転勤の辞令が出た
③一般的な発達過程の通過点として生じた/そうではない
例:大学卒業後、子供が家を出た
例:離婚した妻が親権を得て子供が家を出た
ある日鬼ヶ島の悪い鬼の噂を聞いて、そのときすぐに退治しに行くと決めたんだ。
「予期していなかった」けど「自分で決断した」ことによって今の状況になったんだね。
まさか鬼を退治しに行くことになるなんて、自分でも想像していなかったよ…。
「鬼退治に行く」ことなんてなかなかないから、今回の状況は「一般的な発達過程の通過点」ではなさそうだね。
転機の性質
「転機の性質」は次の4つの視点で評価することが出来ます。
役割、関係、日常生活などをどの程度変えなければいけないか?
②タイミング
人生の中で時期的に良い時か悪い時か?準備期間はあるか?
③コントロール
転機を自分でコントロールできるか?選択肢はあるか?
④持続性
転機によって生じた状況は永続的か?一時的か?
日常生活がガラリと変わったから、深刻さは高いかな…。おじいさんおばあさんに羽織、袴、刀、きび団子を用意してもらって自分のタイミングで家を出ることが出来たから、準備期間はあったと思う。
「コントロール」や「持続性」はどうかしら?
「鬼退治、やっぱり辞める!」という選択肢も無くはないから、コントロールは出来る状態かな。鬼を退治出来たら家に帰れるから、今の状況は一時的なものだね。でも鬼退治が出来なかったら…どうなっちゃうんだろう。
桃太郎は、Situationを4つの観点で整理することにより、「突然の大きな生活の変化に戸惑っている」自分に気付くと共に、「鬼退治に失敗したら自分はどうなってしまうのか?」という不安があることにも気付きました。
もやもや考えているだけの時より、「自分が何に悩んでいるのか」が少し整理されてスッキリしてきたぞ!
Self(自分を知る)
Situation(状況)の次は、Self(自分)への理解を深めていきます。
同じ転機でも人によって反応が違います。突然失業してなかなか立ち直れない人もいれば、すぐに立ち直って心の落ち着きを取り戻す人もいます。この反応の違いは、転機の本質自体の違いではなく、当事者本人のリソース(内的資源)によるものです。
転機に対処するリソースは次の4つです。
例:今は辛いけど…私の人生きっと大丈夫!
②「自分が人生を変えられる」という信念
例:自分が変われば、人生はきっと良くなる!
③転機の対処に役立つ知識・スキル
例:ストレス解消法をネットで検索してみた!
④転機を乗り越えた過去の経験
例:過去の転機は、こんな風にして乗り越えられた!
桃太郎くんは、この中で持っているリソースはあるかしら?
そういえば1年前、熊が村を襲ってきたときに、僕が栗や木の実を渡したら山へ帰ってくれたという経験があったな…。
Supports(サポートを知る)
Self(自分)の次は、Supports(サポート)への理解を深めていきます。
支援があると、転機の難度は下がります。シュロスバーグは転機の支援として、少なくとも次の3つがあると述べています。
心理的な支えとなる家族や友人
②物的資源
転機を乗り越えるのに役立つモノ
※カネ、情報、時間も含む
③公的機関や民間団体
支援してくれる機関や団体
おじいさん、おばあさん、犬、猿、キジが僕を支えてくれているよ。羽織、袴、刀、きび団子も持っている!
Strategies(戦略を立てる)
Strategies(戦略)は、Self(自分)とSupports(支援)を使って、このSituationをどう乗り越えるのか?具体的な行動計画を立てるステップです。
Situation(状況)を冷静に分析することで、「今、自分は何に直面していて、一番何に困っているのか」が見えてきます。そして、Self(自分)とSupports(支援)を理解することにより、「その困り事を解決する方法」も分かってきます。
うーん…。だいぶ整理は出来てきたけど、戦略なんて立てたことないから、どうやれば良いか分からないな…。
ここでは、戦略を立てる方法として、NLPの「8フレームアウトカム」を紹介します。(シュロスバーグの理論ではありません)次の8つの質問に答えることで具体的な行動計画を立てることが出来ます。
ワークシートで考えを整理する
シュロスバーグの4Sに沿って自己分析出来るワークシートを作成しました。頭で考えるだけよりも、書きながら自分のもやもやを「可視化」して整理することで、とてもスッキリすると思います。ぜひご活用ください♪
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