キャリアカウンセリングを受ける機会があるかもしれない方は、「自己概念の成長とは何か」を知っておくと、カウンセリングの効果を高められるかもしれません。
キャリアカウンセラーは、クライエントの「自己概念の成長」を目指してカウンセリングを進めます。ここが他のカウンセリングと違うところです。他のカウンセリングとの比較については、こちらのブログをご参照ください。
でも、自己概念の成長って聞いたことのない言葉で、なんだか難しそうな響きですよね…。
私も理解するのに少し時間がかかったのですが、理解出来ちゃえばとても簡単なことでした!「自己概念の成長」を3分で理解できるようにまとめてみました。
「自己概念の成長」って何?
まず単刀直入に聞いちゃうけど、「自己概念の成長」って何…?
「自己概念の成長」という言葉を簡単にするとこんな感じになるよ。
自分らしさに気付いて、前向きな気持ちになること
「自己概念」ってどういう意味?
「自己概念」という言葉の意味を、簡単に言い表すとこんな感じです。
・「自分ってこんな感じの人」という自己イメージ
・自分が大切にしている価値観
・自分のものごとの捉え方のクセ
これらのことをまとめて一言で表すなら、「自分らしさ」という言葉が一番近いのかなと思います。
「自己概念」が「成長する」ってどういうこと?
「自己概念」≒「自分らしさ」なのね。それはなんとなく理解出来たわ!でもそれが「成長する」って一体どういうこと…?
「成長」は、「セットになった2つの要素で構成されている」と理解すると分かりやすいよ。
①「自分らしさ」に「気づく」
②前向きな気持ちが生まれてくる
「自分らしさ」に「気づく」という作業を通して、「この自分らしさを大切にして生きていけば、これからの人生自分で変えられる、何とか出来そう」という前向きな気持ちが生まれてくること。
これが、「自己概念が成長すること」なのではないかと思います。
私は最初、なんとなく①だけのイメージを持っていたのですが、②とセットだというところがポイントです。
「自己概念の成長」の定義
これらのことから「自己概念の成長」を簡単に定義すると、
自分らしさに気付いて、前向きな気持ちになること
「自分らしさに気付く」だけではなくて、その上で、「これを軸にして生きていけば、自分の人生をより良い方向に変えていけそうな気がする」「これからの人生、たぶん大丈夫!」というポジティブな感情が生まれてくることが、「自己概念の成長」という言葉の意味合いです。
キャリアカウンセリングは、この「自己概念の成長」を目的として行われるカウンセリングなのね!
自己概念ってどうすれば成長するの?
では、どうすれば自己概念を成長させることが出来るのでしょうか。
JCDA(特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会)は、
自己概念は成長する
と考えています。
経験代謝サイクルって、また聞いたことのない言葉だわ…。一体どういう意味なのかしら?
難しく聞こえちゃうかもしれないけど、図があれば簡単に理解できるよ!
経験代謝サイクルとは何か
「経験代謝サイクル」を図で表すとこんな感じになります。
経験代謝サイクルとは、この①と②の作業を繰り返していくことです。
「経験の再現」のイメージを図にすると、こんな感じ。
クライエントがキャンバスに自分の経験を描いて、カウンセラーと一緒に見るような感じです。「あの時こんなことがあったんです。」「その時私はこんな気持ちを感じたんです。」と、その経験の「事実」と「感情」をキャンバスに描き、カウンセラーと一緒に見ていきます。
カウンセラーはここで、クライエントにどんな姿勢で向き合って、どんな質問をするのか?が腕の見せ所になりますが、こちらはまた別のブログで紹介しますね。
ちなみに、カウンセリングでは実際にキャンバスに絵を描くことはしません。笑 あくまでも「対話」の中で経験を再現していきます。
「経験の再現」とは、クライエントが自分を客観視するプロセスです。自分を客観視すると、「あー私ってこういうことを大切にしたかったんだ!」とか「私ってこういう考え方のクセがあるかも?」ということに自分で気づいていきます。
そしてその気づきが生まれると、「この経験から、こんなことを学べた」「経験出来て良かった」と、そのキャンバスに描いた経験を自然と前向きに捉えていくことが出来るようになります。これが「意味の出現」です。
でも、苦しいとき、悲しいとき、経験を前向きに捉えられないこともありますよね。無理に前向きに捉えようとさせられるのは嫌だな…と感じられる方もいるかもしれません。
カウンセラーは、経験を前向きに捉えることを強要することは決してありません。全ての人にあると言われている「より良く生きたい」という心の底にある想いを信じて、また、全ての経験が学びになるということを信じて、クライエントのペースで寄り添っていきます。
サイクルを回すと生まれる「当事者意識」
この経験代謝サイクルを回すと「当事者意識」というものが生まれてきます。
「とうじしゃいしき」?これも聞き慣れない言葉だわ…。
「当事者意識」とは、「この問題は自分で何とか出来る、何とかしよう」と思う意識のことなんだ。
先ほど、「自己概念の成長」とは「自分らしさに気付いて、前向きな気持ちになること」だと説明しましたが、
このプロセスで自己概念は成長していきます。
なんで自己概念の成長を目指すの?
自己概念の成長が何かはなんとなく分かったし、どうすれば成長するのかも分かったけど、そもそもなんで自己概念の成長を目指すのかしら?
それは、クライエントのキャリアに関わる問題を解決できるのは、他の誰でもなく、クライエント自身だからなんだ。
「車の故障」であれば、車の修理士さんがその車を修理すると問題は解決します。
しかし、キャリアに関わる問題はクライエントと一体になっているため、カウンセラーがクライエントの問題を解決することは出来ません。クライエントのキャリアに関する問題は、クライエント自身が解決していく必要があります。
自己概念の成長を促すプロセスは、自分で問題を解決出来るようにクライエントを支援するプロセスです。
自己概念の成長の過程で、「自分らしさ」に気付くと、それが今後の意思決定のための重要な判断材料となり、自分で意思決定ができるようになります。
また、「そうか、自分は本当はこんなことが出来れば良いと思っていたんだ」ということに気付き、進むべき目標を自分の言葉で語れるようになります。
そっか!だから、キャリアカウンセリングは「自己概念の成長」を目的としているのね。
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