【3分で醍醐味が分かる】ブリッジズの『トランジション』を要約! | nanase for life

【3分で醍醐味が分かる】ブリッジズの『トランジション』を要約!

キャリアカウンセリング

転職、退職、解雇、離婚、死別など…「何かが終わりを迎えた」とき、「何かを手放さなくてはいけない」ときって、しんどいですよね。

 

「終わり」を乗り越えるヒントをくれるのが、アメリカの教授ブリッジズの著書『トランジション』。彼の著書によると、「終わり→ニュートラルゾーン→始まり」という「トランジション(移行)」を、人は人生で何度も経験するそうです。

 

この本を読むと、「終わりは新たな始まりの合図なんだ」「新たな始まりまでのしんどい時期をこうやって乗り越えれば良いんだ」と、気持ちが楽になります。

 

このブログでは、本のポイントを簡単に分かりやすくまとめてお伝えします。

トランジションとは

トランジションとは何か

まず最初に、トランジションとは何かを簡単にご説明します!

①成長過程の中でのターニングポイント
 
「成長」という言葉から「子供が大人になる」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、ブリッジズは「人は死ぬまで生涯成長し続ける」という前提に立っています。
 
また、本の中では、トランジションの定義を「自然な発達と自己再生のプロセスにおけるキーポイント」「生きる方向を見失ってからそれを再発見するまでのプロセス」という言葉で説明している箇所もありました。
 

「自己再生」や「再発見」のプロセス…?ちょっとよく分からないな~

 

ブログを最後まで読んで頂くと「あ~そういうことか…」とお分かり頂けると思います!

 

ターニングポイント

 
②成人期に何度も訪れる
 
訪れる頻度や時期は人によって様々ですが、「トランジションは、成人期に思いのほか頻繁に訪れ、思っていたよりも深い影響を与える」「成人期には、変化の時と安定の時を繰り返すリズムがある」とブリッジズは述べています。
トランジションが起こるタイミング
この「トランジション」が起こるタイミングを、ブリッジズは次の5つに分類しています。
 
関係の喪失

離婚、絶縁、家族の死、ペットの死、友人と疎遠になる、失恋、推していたアイドルの活動休止、子供の自立など、誰かとの関係が切れたり希薄になったりする場合や、何かとの繋がりが失われる場合。
 
家庭の変化

結婚、出産、配偶者の転職や退職、家族の病気、親との同居、介護、家庭内のトラブルの増加など、家庭生活の内容や質が変化する場合。
 
個人的な変化

自分の病気、大きな成功や失敗、転居、ライフスタイルの変化、体重の増加などの外見上の変化、学び直しのための学校への入学や卒業など。
 
仕事の変化

就職、後輩の育成担当になる、転職、組織内での配置転換、昇格・降格、退職、解雇、副業を始める・辞める、など。
 
内定な変化

自己イメージや価値観の変化、社会への貢献意欲の高まり、自分の内面が変化するような気付きや学びを得る、新たな夢の発見や古い夢の放棄、など。
 

解雇、死別、病気とか、大変そうなことだけじゃなくて、結婚、出産、昇進とかもトランジションのきっかけになるんだね。

 

他の人から見えると一見幸せそうに見えることが、本人にとっては乗り越えるのが困難なトランジションになることもあるんだって。

 

結婚

トランジションの3つのプロセス

トランジションは3つのプロセスで進んでいきます。

 

3つのプロセス
終わり→ニュートラルゾーン→始まり
 

紙芝居なんかは「はじまりはじまり~」から始まって、「おしまい」で終わるよね。「終わりから始まる」って少し違和感を感じるな…。

 

この「終わりから始まる」という所がブリッジズの『トランジション』の一番の醍醐味なんだよ!

終わりから始まる

ブリッジズは、トランジションのプロセスが「終わり」から始まることを、著書で次のように表現しています。

 

われわれはみな、終わりを「ある状況の終結」として捉えがちであるが、これは同時にプロセスの始まりである。終わりは、芝居の最初の一幕であり、最終幕ではないのだ。
 

終わりは新たな始まりでもあるんだ!と思うと少し元気が出るかもしれないね。

 

そういえば、タレントのアンミカさんも「好きな人にフラれたときは、次の恋愛の扉が開いたってこと!」と言ってたな。

ニュートラルゾーンとは

「終わりから始まる」ということに加えて、「終わりの後にニュートラルゾーンがある」ということも、トランジションプロセスの重要なポイントです。著書の一部を引用します。

 

まず何かの終わりがあり、次に始まりがある。そして、その間に重要な空白ないし休養期間が入る。

 

これは自然の成りゆきであり、木は葉が落ちた後、冬を耐え抜く枯れ枝の期間があり、その後ふたたび緑の葉が出てくる。
 
ニュートラルゾーン

 

フラれた後、すぐに次の恋愛が始まるわけではないってことか…。空白期間を耐え抜いた後に初めて、次の恋愛が始まるんだね。

 
このニュートラルゾーンは、本の中で「混乱や苦悩の時期」「空白の時」「どっちつかずの過渡期」という言葉で説明されている箇所がありました。この時期は、空虚感を感じたり、非生産的になったりすることもあるそうです。
 

ニュートラルゾーンを乗り越えることで新たな始まりを迎えることが出来ます。次の章からは3つのプロセスの「乗り越え方」をご紹介していきます。

「終わり」の乗り越え方

「終わり」の時期に起きること

「終わり」の時期には、次の5つが起こることが多いです。これら5つは、どのような順番で起こるかは決まっていません。

 

離脱

・慣れ親しんだ場所から引き離される
・大切にしてきた人・役割・環境を喪失する
 
解体

・これまでの習慣・生き方・行動パターンを徐々に取り除く
・失ったことを少しずつ受容していく
 
アイデンティティの喪失

・自分を定義していたラベルがなくなったと感じる
・もはや自分が何者か分からなくなる
 
覚醒

・夢と現実にはギャップがあることに気付く
・信じていたものに裏切られて目が覚める
 
方向感覚の喪失

・ライフプランやキャリアプランが崩れる
・自分がどこに向かって進めば良いか分からなくなる
 

僕は保護犬なんだけど、前の飼い主さんとお別れするときはとても寂しかったな…。

 

大切なものを失ってしまった悲しみはすぐには癒えないよね…。ただ、「終わり」を乗り越えるヒントがあるのでご紹介するね。

「終わり」の乗り越え方
90歳の自分からアドバイスをもらう

 

90歳の自分は、どんな場所に住んで、どんな洋服を着て、どんなことを考えながら、何をしているでしょうか?その90歳の自分に「今回大切なものを失ったことは、私の人生においてどんな意味があるの?」と聞いたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?

 

おばあちゃん

 

「終わり」を早く終わらせようと焦らない
 
何かを喪失する「離脱」は一瞬にして起こりますが、その喪失を受容していく「解体」は「長くゆっくりとしたプロセス」で、時間がかかることがあります。そのため、早く終わらせようと焦らないことが大切です。
 
アイデンティティの喪失は自然な成長のプロセスだと理解する
 

古いアイデンティティを手放して、トランジションを通じて新たなアイデンティティを獲得していくことは、自然な成長のプロセスです。それを理解しておくだけでも、少し楽になるかもしれません。

 

覚醒の体験は「物事をより深く捉える準備が整った」というサインだと捉える

 

夢と現実にはギャップがあると気付いたとき、裏切られたような、絶望するような、そんな気持ちを感じるかもしれません。しかし、「覚醒の体験は、知的・精神的発達に繋がる」とブリッジズは述べています。

 

無理にすぐにライフプランを立て直そうとしない

 

方向感覚を喪失すると、早く目標を再設定してプランを立て直そうとしがちですよね。トランジションのプロセスにおいては、「ニュートラルゾーンを乗り越えた先に新しい何かが待っていることを信じて待つ」という姿勢も必要です。

 

終わりの次は、ニュートラルゾーンを乗り越えなきゃいけないのか…。新しい始まりまでは長い道のりだな…。

 

時間がかかる道のりではあるけど、「どんなことが起きるか」「どう乗り越えれば良いのか」が分かると不安が和らぐよ。次はニュートラルゾーンの乗り越え方を紹介するね!

「ニュートラルゾーン」の乗り越え方

「ニュートラルゾーン」で起こること

ブリッジズは「ニュートラルゾーン」を「過去の人生と新しい人生のはざま」と呼んでいます。この「はざま」の時に、次のような感覚を感じることがあります。

 

「どこでもない場所」にいるような感覚を感じる

 

大きな空虚感を感じる

 

昔の現実が色あせて、もはや何も確かな感じがしなくなる
 
空白
 
 

うわ~…ニュートラルゾーンってなんかやだな~。

 

そうだよね…。ただ、ニュートラルゾーンは「洞察に満ちたひととき」「内的な再方向づけのとき」「真の変容作用がはたらくとき」でもあると、ブリッジズは言っているよ。

 

そっか…。新しい自分に生まれ変わるためには重要な時期なんだね。じゃあ、どうやって乗り越えれば良いんだろう?

「ニュートラルゾーン」の乗り越え方
ニュートラルゾーンの必要性を認める

 

本当の新しい始まりのために、ニュートラルゾーンの経験はなくてはならないもの。「新たな創造のためにカオス(混沌・混乱)への回帰は不可欠である」ことは、太古の昔から変わらない「死と再生のプロセス」なんだそうです。

 

1人になれる時間と場所を確保する

 

人は孤独の中でこそ、自分の内面と向き合うことが出来ます。「家族より30分早く起きて1人で静かにコーヒーを飲む」「仕事終わりに1人で30分ジョギングをする」といったことでもOK。1人の時間を確保しましょう。

 

数日間1人でなじみのない場所に行く

 

もし時間が確保できるなら、数日間、なじみがない場所に滞在できるとベスト。滞在先は、自分の内面と向き合いやすい静かな場所がおすすめです。旅に持っていく荷物はなるべく少なくしましょう。多くのものを置いてくるほど、新しいものを発見する余地が広がります。

 

旅行

 

ぼんやりと考えていたことを記録しておく

 

ニュートラルゾーンには心に刻むべき何かがあります。電車に乗っているとき、帰宅途中で歩いているときなどに、ぼんやりと考えていたことや、ふっと湧いてきた考えが、とても大切なことかもしれません。忘れてしまう前にスマホかスケジュール帳などにメモをしておきましょう。

 

過去を振り返って自叙伝を書く

 

「これまでどう生きて来たか」を理解することによってのみ、「これからどう生きるか」が見えてくることがあります。この「自叙伝を書く」という作業をするときには、サビカス博士の理論を使って書くことがお勧めです。宜しければ、こちらのブログもご一読ください。

 

 
この機会に本当にやりたいことを見出す

 

やりたいことの探し方は色々ありますが、「もし今死んだら、心残りは何か」を考えてみるのも良いかもしれません。もしあなたが今死んでしまうとしたら、どんな夢が、どんな信念が、どんな能力が、どんな考えが、どんな素質が、発揮されずに終わってしまうことになるでしょうか?

 

ニュートラルゾーンを乗り越える方法、沢山あるんだね!全部やってみたい!

 

うん!ただ「全部絶対やらなければいけない」というわけではないので、「出来そう」「良さそう」と思うものがあったらやってみてね。

 

「一生のうちに一度くらいは、何かの成果を出したり、何かを成し遂げたりしなくても良い時があっていい。」「ニュートラルゾーンにいるときは、楽しい時は楽しみ、退屈な時は退屈でいる。孤独な時は孤独で、悲しい時は悲しめば良い。」とブリッジズは述べています。

「始まり」の乗り越え方

では、最後に「始まり」の乗り越え方のご紹介です!

 

「始まり」って楽しくてワクワクするイメージがあるけど…何か乗り越えなきゃいけないようなことが起きるの?

「始まり」の時期に起きること
内的な抵抗が伴うことがある
 
「新しいことを始めるのは怖い」「今のままの方が安心」「新しいことを始めるのはめんどくさい」「とりあえず今日はやめておこう」など、「始まり」を阻止しようとする考えが沸いてくることがあります。
 

周囲の人から反対されることもある

 

あなたが新しいことを始めることを、良く思わない人もいるかもしれません。特に家族など、あなたが変わることで影響を受ける人からの反対を受ける可能性があります。

 

大半の新たな「始まり」は偶然から始まる

 

私の経験を思い起こしてみても…「動物保護団体に支援物資を届けに行ったら、たまたま里親募集中のチワワがいて飼うことになった」とか、「母の付き添いで受けに行ったセラピーの効果に私が感動して、セラピストの資格を取った」など、偶然が人生を変える始まりになったことが沢山あります。

 

柔軟性

 

 

やりたいことはあるけど、今日は疲れたから明日からでいっか!って思っちゃうこと、確かに沢山あるな~。

 

そういうこと、私も沢山あるな…。でも、これから紹介する方法を試してみると、きっとその癖を乗り越えられるんじゃないかな!

「始まり」の乗り越え方
完全に準備してから始めようとしない
 
始めるのはもう少しだけ準備してからにしよう…と思うと、「もう少しだけ」「もう一回だけ」と延々と先延ばしにしてしまいます。失敗のように見えることも、成功に繋がる貴重な財産。「とりあえずやってみよう!」と行動してみることで、「始まり」が始まります。

 

新しく始めることがうまくいったときのことをイメージする
 
新しいことを始めるときに、失敗したときのリスクを考慮することは大切ですよね。一方で、過度にリスクを考えすぎると、新たな一歩を踏み出しづらくなってしまいます。「失敗したときのこと」だけでなく「うまくいったときのこと」も同じくらいイメージしてみてください。うまくいったとしたら、どんな感じがするでしょうか?

 

誠実な態度で話し合う
 
何かを新しく始めるときは、変に隠したりせずに、周囲の人に正直に伝えることが大切。誠実でない態度は、相手の抵抗を増すだけです。とてもシンプルですが、「真摯な姿勢でしっかり話し合う」ことが、人間関係の緊張を和らげるベストな方法です。

 

何かを始めるときは決意して始めるべきだと思い込まない
 
「始まり」は偶然に訪れることが多いことを理解した上で、「偶然をチャンスに変えられる力」を磨いておくと良いかもしれません。その力を身につけたい方は、ぜひこちらのブログもご一読ください♪
 

トランジションの先にあるもの

なんだか、トランジションのプロセスって大変そうだな~。出来るだけ避けて生きていきたい…。

 

トランジションを乗り越えると、素敵なことが沢山待っているんだよ♪

 

深い意味において自分になれる
 
学校を卒業して仕事に就くときは、「仕事に就くことが当たり前だから」という暗黙のルールのもとで就職して独立することが多いと思いますが、大人になってからのトランジションは、個人の確固たる動機と自律を伴っています。そのため、成人したころには想像できないほど、深い意味において自分自身になれるのです。
 
新しいアイデンティティと古いアイデンティティが統合される
 
トランジションを経て、人は別の違う誰かに変わるわけではありません。「私」の人生の新しい章が始まるというイメージに近いでしょう。古いアイデンティティは、大幅に改められるかもしれませんが、新しいアイデンティティと統合されて、「私」が主人公の物語は次の章へと進んで行くのです。

 

人生には一貫して変わらないものもあると気付く
 
「終わり」の過程で全てが無くなってしまうわけではありません。むしろ、多くのものごとが変わっていくときにこそ、「人生には一貫して変わらないものもある」ということに気付くことが出来るのです。
 
背伸び

参考文献

本ブログの参考文献はこちらです。

 

『トランジション 人生の転機を活かすために』ウィリアム・ブリッジズ著

 

 

ブログでは、私の解釈を含めて、一部、言葉を変えて表現しています。ブリッジズの言葉で書かれた本を読むことで、さらに正しく深い理解が出来ると思います。

 

「トランジション」についてさらに詳しく知りたいと思った方は、ぜひ本を手に取ってみてください♪

コメント

  1. ブリッジズの「終わりから始まる」「ニュートラルゾーン」という考え方は好きなのですが、実を言うと以前に学科試験のためにさらっと学習しただけでしたので、わかりやすく噛み砕いして説明していただけている今回のブログは(も)、とても有益でした。

    • nanase nanase より:

      素敵なコメントを有難うございます♪ 私も学科試験のために学習しただけだったのですが、本を読んでとても学びが多かったのでブログにまとめてみました☆

タイトルとURLをコピーしました