転職、退職、解雇、離婚、死別など…「何かが終わりを迎えた」とき、「何かを手放さなくてはいけない」ときって、しんどいですよね。
「終わり」を乗り越えるヒントをくれるのが、アメリカの教授ブリッジズの著書『トランジション』。彼の著書によると、「終わり→ニュートラルゾーン→始まり」という「トランジション(移行)」を、人は人生で何度も経験するそうです。
この本を読むと、「終わりは新たな始まりの合図なんだ」「新たな始まりまでのしんどい時期をこうやって乗り越えれば良いんだ」と、気持ちが楽になります。
このブログでは、本のポイントを簡単に分かりやすくまとめてお伝えします。
トランジションとは
トランジションとは何か
まず最初に、トランジションとは何かを簡単にご説明します!
「自己再生」や「再発見」のプロセス…?ちょっとよく分からないな~
ブログを最後まで読んで頂くと「あ~そういうことか…」とお分かり頂けると思います!
トランジションが起こるタイミング
離婚、絶縁、家族の死、ペットの死、友人と疎遠になる、失恋、推していたアイドルの活動休止、子供の自立など、誰かとの関係が切れたり希薄になったりする場合や、何かとの繋がりが失われる場合。
結婚、出産、配偶者の転職や退職、家族の病気、親との同居、介護、家庭内のトラブルの増加など、家庭生活の内容や質が変化する場合。
自分の病気、大きな成功や失敗、転居、ライフスタイルの変化、体重の増加などの外見上の変化、学び直しのための学校への入学や卒業など。
就職、後輩の育成担当になる、転職、組織内での配置転換、昇格・降格、退職、解雇、副業を始める・辞める、など。
自己イメージや価値観の変化、社会への貢献意欲の高まり、自分の内面が変化するような気付きや学びを得る、新たな夢の発見や古い夢の放棄、など。
解雇、死別、病気とか、大変そうなことだけじゃなくて、結婚、出産、昇進とかもトランジションのきっかけになるんだね。
他の人から見えると一見幸せそうに見えることが、本人にとっては乗り越えるのが困難なトランジションになることもあるんだって。
トランジションの3つのプロセス
トランジションは3つのプロセスで進んでいきます。
終わり→ニュートラルゾーン→始まり
紙芝居なんかは「はじまりはじまり~」から始まって、「おしまい」で終わるよね。「終わりから始まる」って少し違和感を感じるな…。
この「終わりから始まる」という所がブリッジズの『トランジション』の一番の醍醐味なんだよ!
終わりから始まる
ブリッジズは、トランジションのプロセスが「終わり」から始まることを、著書で次のように表現しています。
終わりは新たな始まりでもあるんだ!と思うと少し元気が出るかもしれないね。
そういえば、タレントのアンミカさんも「好きな人にフラれたときは、次の恋愛の扉が開いたってこと!」と言ってたな。
ニュートラルゾーンとは
「終わりから始まる」ということに加えて、「終わりの後にニュートラルゾーンがある」ということも、トランジションプロセスの重要なポイントです。著書の一部を引用します。
まず何かの終わりがあり、次に始まりがある。そして、その間に重要な空白ないし休養期間が入る。
フラれた後、すぐに次の恋愛が始まるわけではないってことか…。空白期間を耐え抜いた後に初めて、次の恋愛が始まるんだね。
ニュートラルゾーンを乗り越えることで新たな始まりを迎えることが出来ます。次の章からは3つのプロセスの「乗り越え方」をご紹介していきます。
「終わり」の乗り越え方
「終わり」の時期に起きること
「終わり」の時期には、次の5つが起こることが多いです。これら5つは、どのような順番で起こるかは決まっていません。
・慣れ親しんだ場所から引き離される
・大切にしてきた人・役割・環境を喪失する
・これまでの習慣・生き方・行動パターンを徐々に取り除く
・失ったことを少しずつ受容していく
・自分を定義していたラベルがなくなったと感じる
・もはや自分が何者か分からなくなる
・夢と現実にはギャップがあることに気付く
・信じていたものに裏切られて目が覚める
・ライフプランやキャリアプランが崩れる
・自分がどこに向かって進めば良いか分からなくなる
僕は保護犬なんだけど、前の飼い主さんとお別れするときはとても寂しかったな…。
大切なものを失ってしまった悲しみはすぐには癒えないよね…。ただ、「終わり」を乗り越えるヒントがあるのでご紹介するね。
「終わり」の乗り越え方
90歳の自分は、どんな場所に住んで、どんな洋服を着て、どんなことを考えながら、何をしているでしょうか?その90歳の自分に「今回大切なものを失ったことは、私の人生においてどんな意味があるの?」と聞いたら、どんな答えが返ってくるでしょうか?
古いアイデンティティを手放して、トランジションを通じて新たなアイデンティティを獲得していくことは、自然な成長のプロセスです。それを理解しておくだけでも、少し楽になるかもしれません。
夢と現実にはギャップがあると気付いたとき、裏切られたような、絶望するような、そんな気持ちを感じるかもしれません。しかし、「覚醒の体験は、知的・精神的発達に繋がる」とブリッジズは述べています。
方向感覚を喪失すると、早く目標を再設定してプランを立て直そうとしがちですよね。トランジションのプロセスにおいては、「ニュートラルゾーンを乗り越えた先に新しい何かが待っていることを信じて待つ」という姿勢も必要です。
終わりの次は、ニュートラルゾーンを乗り越えなきゃいけないのか…。新しい始まりまでは長い道のりだな…。
時間がかかる道のりではあるけど、「どんなことが起きるか」「どう乗り越えれば良いのか」が分かると不安が和らぐよ。次はニュートラルゾーンの乗り越え方を紹介するね!
「ニュートラルゾーン」の乗り越え方
「ニュートラルゾーン」で起こること
ブリッジズは「ニュートラルゾーン」を「過去の人生と新しい人生のはざま」と呼んでいます。この「はざま」の時に、次のような感覚を感じることがあります。
うわ~…ニュートラルゾーンってなんかやだな~。
そうだよね…。ただ、ニュートラルゾーンは「洞察に満ちたひととき」「内的な再方向づけのとき」「真の変容作用がはたらくとき」でもあると、ブリッジズは言っているよ。
そっか…。新しい自分に生まれ変わるためには重要な時期なんだね。じゃあ、どうやって乗り越えれば良いんだろう?
「ニュートラルゾーン」の乗り越え方
本当の新しい始まりのために、ニュートラルゾーンの経験はなくてはならないもの。「新たな創造のためにカオス(混沌・混乱)への回帰は不可欠である」ことは、太古の昔から変わらない「死と再生のプロセス」なんだそうです。
人は孤独の中でこそ、自分の内面と向き合うことが出来ます。「家族より30分早く起きて1人で静かにコーヒーを飲む」「仕事終わりに1人で30分ジョギングをする」といったことでもOK。1人の時間を確保しましょう。
もし時間が確保できるなら、数日間、なじみがない場所に滞在できるとベスト。滞在先は、自分の内面と向き合いやすい静かな場所がおすすめです。旅に持っていく荷物はなるべく少なくしましょう。多くのものを置いてくるほど、新しいものを発見する余地が広がります。
ニュートラルゾーンには心に刻むべき何かがあります。電車に乗っているとき、帰宅途中で歩いているときなどに、ぼんやりと考えていたことや、ふっと湧いてきた考えが、とても大切なことかもしれません。忘れてしまう前にスマホかスケジュール帳などにメモをしておきましょう。
「これまでどう生きて来たか」を理解することによってのみ、「これからどう生きるか」が見えてくることがあります。この「自叙伝を書く」という作業をするときには、サビカス博士の理論を使って書くことがお勧めです。宜しければ、こちらのブログもご一読ください。
やりたいことの探し方は色々ありますが、「もし今死んだら、心残りは何か」を考えてみるのも良いかもしれません。もしあなたが今死んでしまうとしたら、どんな夢が、どんな信念が、どんな能力が、どんな考えが、どんな素質が、発揮されずに終わってしまうことになるでしょうか?
ニュートラルゾーンを乗り越える方法、沢山あるんだね!全部やってみたい!
うん!ただ「全部絶対やらなければいけない」というわけではないので、「出来そう」「良さそう」と思うものがあったらやってみてね。
「一生のうちに一度くらいは、何かの成果を出したり、何かを成し遂げたりしなくても良い時があっていい。」「ニュートラルゾーンにいるときは、楽しい時は楽しみ、退屈な時は退屈でいる。孤独な時は孤独で、悲しい時は悲しめば良い。」とブリッジズは述べています。
「始まり」の乗り越え方
では、最後に「始まり」の乗り越え方のご紹介です!
「始まり」って楽しくてワクワクするイメージがあるけど…何か乗り越えなきゃいけないようなことが起きるの?
「始まり」の時期に起きること
周囲の人から反対されることもある
あなたが新しいことを始めることを、良く思わない人もいるかもしれません。特に家族など、あなたが変わることで影響を受ける人からの反対を受ける可能性があります。
大半の新たな「始まり」は偶然から始まる
私の経験を思い起こしてみても…「動物保護団体に支援物資を届けに行ったら、たまたま里親募集中のチワワがいて飼うことになった」とか、「母の付き添いで受けに行ったセラピーの効果に私が感動して、セラピストの資格を取った」など、偶然が人生を変える始まりになったことが沢山あります。
やりたいことはあるけど、今日は疲れたから明日からでいっか!って思っちゃうこと、確かに沢山あるな~。
そういうこと、私も沢山あるな…。でも、これから紹介する方法を試してみると、きっとその癖を乗り越えられるんじゃないかな!
「始まり」の乗り越え方
トランジションの先にあるもの
なんだか、トランジションのプロセスって大変そうだな~。出来るだけ避けて生きていきたい…。
トランジションを乗り越えると、素敵なことが沢山待っているんだよ♪
参考文献
本ブログの参考文献はこちらです。
『トランジション 人生の転機を活かすために』ウィリアム・ブリッジズ著
ブログでは、私の解釈を含めて、一部、言葉を変えて表現しています。ブリッジズの言葉で書かれた本を読むことで、さらに正しく深い理解が出来ると思います。
「トランジション」についてさらに詳しく知りたいと思った方は、ぜひ本を手に取ってみてください♪
コメント
ブリッジズの「終わりから始まる」「ニュートラルゾーン」という考え方は好きなのですが、実を言うと以前に学科試験のためにさらっと学習しただけでしたので、わかりやすく噛み砕いして説明していただけている今回のブログは(も)、とても有益でした。
素敵なコメントを有難うございます♪ 私も学科試験のために学習しただけだったのですが、本を読んでとても学びが多かったのでブログにまとめてみました☆