キャリア理論家であるサビカス博士の理論は、「様々な転機を乗り越える方法」を教えてくれます。転職、部署異動、結婚、出産、退職など…人生にはいろいろな転機がありますよね。
「自分の人生物語の書き手になる」ことを目指すサビカス博士の理論は、漫画・映画・小説・舞台が好きな方はワクワクするような内容です。そんな魅力的な内容を、大切なポイントだけにぎゅっと凝縮して3分で読める形にまとめてみました!
サビカスの理論をもとに自己分析できるワークシートのダウンロードはこちらから!↓
※本ブログをご一読頂いてからのご使用をお勧めします。
マーク・L・サビカスってどんな人?
サビカス博士ってどんな人なの?
マーク・L・サビカス
元ノースイースト・オハイオ医科大学教授。現在はアメリカだけでなく南アフリカやイギリスの大学でも教授を務めている。医学生のキャリア支援を中心にキャリア・カウンセリングの教育・実践・研究を行っており、1974年より合わせて5000人を超える面接経験がある。多くの学会賞を受賞したキャリア・カウンセリングの第一人者。
私はキャリアコンサルタントの資格取得の勉強をしたテキストで、サビカス博士のことを知ったんだ。ワクワクするような理論で印象に残っていたの!
JCDA認定スーパーバイザーの水野みちさんが、2020年8月に、サビカス博士にオンラインインタビューをした映像を無料で視聴することが出来ます。
動画を見て、こんなに優しそうな雰囲気の方なんだ~と、さらに好きになりました!
サビカスの理論が注目される理由
じゃあ次は早速、理論のポイントを分かりやすく教えてもらえる?
うん!理論の概要を理解しやすくするために、まずは「なぜ今サビカス博士のキャリア理論が注目されているのか」から伝えるね。
「不確実なことが多い」ってどういうこと…?
サビカス博士は「転職が当たり前な社会になっている」と言っているよ。
これは、著書の一部の引用です。アメリカだけでなく日本も、非正規労働者の数はここ30年の間に大きく増加しました。
正社員→正社員の転職も、日本でも当たり前になってきているよね。
うん。総務省のデータによると2019年の正社員→正社員の転職者数は84万人で、2018年より9万人増えたんだって。ジョブ型雇用の増加で、この数はもっと増えそうな気がするわ。
なるほど~。でも「不確実なことが多い」って転職以外の場面でも当てはまりそうだよね?
うん!サビカス博士は言及していないけど、日本ならではの「不確実なこと」って色々ありそうだよね。
・結婚や出産をするかしないか迷う
・定年退職後も働くかどうか迷う など
転職しなくても総合職の方は部署異動の可能性がありますよね。また、少子高齢化を背景に、働き方・生き方が多様化してきています。
多様な働き方・生き方の選択肢がある「不確実なことが多い」日本の現代社会において、「自分でキャリアをつくっていく」ことの重要性が高まっています。
そのニーズに答えてくれるのが、サビカス博士の理論なのです!
人生物語の「著者」になる
「自分でキャリアをつくる」ってなんだか難しそうな感じがする…。
サビカス博士は、「自分でキャリアをつくる」ことを「自分の人生物語の著者になる」という言葉で表現しているよ。そう言われると、ちょっと面白そう…と感じてこない?
・人生物語の読み手ではなく書き手になる
「物語を書く」って楽しそうだけど、僕は文才がないからな~
文才はなくても大丈夫!物語の「テーマ」が分かれば人生物語の「書き手」になれるよ!
「テーマ」とは、「その物語が中心に扱っていること」「物語の中で繰り返し出てくること」です。
例えば、週刊少年ジャンプに掲載中の大人気漫画『ONE PIECE』は「困難を仲間と一緒に乗り越える」場面が何度も出てくるので、これがテーマかもしれません。
「テーマ」が分かれば、自信を持って今後の物語を書いていくことが出来ます。
マイクロナラティブからマクロナラティブへ
自分の人生物語の「テーマ」を見つけたくなってきたな!どうやったらテーマを見つけられるの?
うわ~よく分からないカタカナ英語が出てきた。何言ってるかさっぱり分からないよ…。
カタカナ英語だと難しそうだけど、日本語にするととても簡単なの!
プロット=筋書き
マイクロナラティブ=小さなお話
マクロナラティブ=大きな物語
「人生物語のテーマ」を見つけるためには、「筋書き」で「小さなお話」を繋いで「大きな物語」にする、ということかぁ。もう少し説明してもらえる?
自分の人生を振り返ると、「あの時の出来事が今の自分をつくるきっかけになったな」と思う、人生の転機となった出来事がいくつかあると思います。その出来事1つひとつが「小さなお話(マイクロナラティブ)」です。
そして、それぞれの「小さなお話」の間には、何らかの繋がりや因果関係があります。例えば、「高校時代成績オール5」→ガリ勉気質が身について→「大学時代も成績1位」のような感じです。この「繋がりや因果関係」が「筋書き(プロット)」です。
「筋書き」で小さなお話を繋げると、1つの「大きな物語(マクロナラティブ)」になります。
一見繋がりがないような出来事も、実は繋がりがあって、繋げると1つの大きな物語になるんだね。
苦しかった出来事も、大きな物語の中で考えると「意味のある経験だったんだな」と前向きに捉えることが出来るようになるよ。
「小さなお話」を「大きな物語」にすることによって、自分を見失うことなく、「それぞれの出来事は繋がっているんだ」という連続性の感覚を持ちながらキャリアを作っていくことが出来ます。
キャリアテーマ(金の糸)を探す
さて、「大きな物語」が作れたら、「キャリアテーマ」を探す準備が整いました!
大きな物語には、その物語の全体を貫く「キャリアテーマ(人生物語のテーマ)」が隠れています。
「人生=1つの追求」と捉えることは、多くの心理療法に見られる本質です。「キャリアテーマ」とは「人生をかけて追及する1つのもの」のことです。
・物語が中心に扱っていること
・物語の中で繰り返し出てくること
上記の図の例の場合、「完璧主義で苦しむ自分を乗り越えていく」というパターンが隠れていると考えられます。この物語のテーマは「おりこうさんからの脱却」かもしれません。
キャリアテーマが分かることで、不確実な社会の中でも自分の進む道を見失うことなく、キャリアをつくっていくことが出来ます。
人生物語をつくるワークシート
冒頭でもご紹介しましたが、サビカス博士の理論をもとに、今迎えている転機を乗り越えて、自分のキャリアテーマを探せるワークシートを作成しました。
自分の人生物語の著者になった気持ちで、楽しく取り組めるワークシートです♪
※ワークシートは、以下のブログもご一読の上ご使用されることをお勧めします。
ナラティブ(語り)の重要性
「ナラティブ」って聞いたことない言葉だけど、どういう意味?
「語り(口で話す)」という意味だよ。「ナレーション」や「ナレーター」の語源でもあるよ。
ワークシートを紹介しましたが、人生物語を1人で「書く」より誰かに「語る」方がお勧めです。サビカス博士も「ナラティブ(語り)」が重要だと考えています。以下の文章は著書からの引用です。
キャリアコンサルタントの資格取得のためのテキストでも、「人は信頼できる他者に語ることで、自分の経験に前向きな意味づけが出来るようになる」と学びました。
ワークシートに書いたことを、家族や友達に話してみることで新たな気づきがあるかもしれないね。
うん。利害関係のない第三者に話せる場があると、より自己理解が促進される可能性が高いよ。キャリアカウンセリングを受けてみることもお勧め!
参考文献
参考にさせて頂いた文献をご紹介します。
サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル──キャリア・カウンセリング理論と実践 | マーク・L・サビカス著, 日本キャリア開発研究センター, 水野 修次郎 |本 | 通販 | Amazon
サビカス キャリア・カウンセリング理論 | マーク・L・サビカス, 日本キャリア開発研究センター, 日本キャリア開発研究センター, 乙須敏紀 |本 | 通販 | Amazon
これら2冊の本に加えて、日本・精神技術研究所の「キャリア・ストーリー・インタビューの実践」というセミナー(2017年夏に受講)の内容も参考にさせて頂きました。
人生の転機を迎えている方に、サビカス博士の理論はとてもお勧めです!ぜひ著書もご一読ください♪
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